Blend Info.

ブレンドイメージ

Bass Concept: 大雪‐TAISESTU‐ . Design image:伝統、日本. Flavor image:粒餡

ローストレベル

深煎り / French roast(1crak+360sec)

ブレンド内容：

Indonesia (インドネシア）/ 配合率４０％

地域：北スマトラ(North-Sumatra) . 生産者：アルフィナー・ルンバンガオル( Alfinar Rumbangaor ) .品種：Sライン、アテン、ボルボルetc....(S-Line,Aten,Borbor etc) .精製：ウェットハリング(Wet-Hulling)

India (インド） /  配合率３０％

地域：カルナータカ州(Karnartaka) . 生産者：パバンさん(Paban) .品種：ファインロブスター（Fine-Robusta) . 精製：ウォッシュド(Washed)

Ethiopia（エチオピア） / 配合率３０％

地域：カッファエリア（Kaffa Area) . 生産者：タミル・ギゾー（ Tamir Gizaw )品種：74110,74112. 精製：ウォッシュド(Washed)

 

CUPCOMMENT / カップコメント                     

Flavor（フレーバー）

T3.Anko（粒餡）、T3.Smoky（スモーキー）、T3.Caramelized（キャラメリゼ）、T3.DarkChocolate（ダークチョコレート）

Aroma（アロマ）

T3.スモーキー（Smoky）：Roasted⇒Burnt⇒Smoky、T3.麦（Malt）：Roasted⇒Cereal⇒Malt、T3.ダークチョコレート（Darkchocolate）：Nutty⇒Cocoa⇒Darkchocolate

Acidity（酸味）

【ローストディベロップにより苦味に変化している】T3.Woody（ウッディ）：Other⇒Papery/Musty⇒Woody、T3.ダークチョコレート（Darkchocolate）：Nutty⇒Cocoa⇒Darkchocolate

Sweetness（甘味）

T3.Caramelized（キャラメリゼ）：Sweet⇒Brownsugar⇒Caramelized、T3.Anko（粒餡）：Nutty/Cocoa⇒Cocoa⇒Anko、T3.ダークチョコレート（Darkchocolate）：Nutty⇒Cocoa⇒Darkchocolate

Mouthfeel（マウスフィール）

T3.Anko（粒餡）：Nutty/Cocoa⇒Cocoa⇒Anko、T3.Caramelized（キャラメリゼ）：Sweet⇒Brownsugar⇒Caramelized、T3.ダークチョコレート（Darkchocolate）：Nutty⇒Cocoa⇒Darkchocolate

After Taste(アフターテイスト）

T3.Anko（粒餡）：Nutty/Cocoa⇒Cocoa⇒Anko、T3.スモーキー（Smoky）：Roasted⇒Burnt⇒Smoky、T3.麦（Malt）：Roasted⇒Cereal⇒Malt

Roasters' Comment   

 

江戸時代に太玄斎にて発行された暦便覧（Koyomi-Bin-Ran)に

 

「雪いよいよ降り重ねる折からなれば也（ゆきいよいよふちかさねるおりからなればなり）」

 

とあります。

 

山岳の峰が雪化粧を纏うだけでなく、いよいよ平地でも降雪で大地が白ばむ時節という意味ですが、古くからこの季節を”大雪（たいせつ）”と呼んでいます。

 

もとは２４節気という中国の太陰太陽暦からくる季節の考え方ですが、日本にも中国から６世紀ごろに伝わって以降、明治５年に廃止されるまで太陰太陽暦を採用していました。

そのため、農業慣行など日本の伝統的な慣習は２４節気と深く関わりがあります。

 

大雪は24節気の第２１節気目となり、小雪から数えて15日目ごろの12月7日から12月25日ごろの節気です。

 

 大雪（たいせつ）の時期が来ると私たちの生活環境でも本格的な冬を感じられる季節がやってきます。

 

”冬将軍”という季語や鮭が産卵のために川へ戻ってくる”鮭の遡上”、”正月事始め”などこの大雪の時期は今にまで続く日本の伝統様式が色濃く感じられる時期でもあります。

 

 

 

空塞く冬と成る（そらさむくふゆとなる）　　　　　

大雪の初侯では『空塞く冬と成る（そらさむくふゆとなる）』とあります。

 

これは分厚い雲が空を塞ぐようになり、暗く重たいどんよりとした空が冬は広がっているという意味です。

 

まさに、こうした空が広がっている頃には私たちの生活にもすっかりと冬が訪れていることでしょう。

 

日の出はすっかりと遅くなり、朝の音もきっと静かでしょう。

 

 

深い吐息は白く漂い

 

 

一層と濃くなってしまった冬の様相に

 

 

感じる布団の温もりはまるで楽園の如し。

 

 

 

『ここがエデンの園か』

 

 

 

この時期の朝の布団はついつい叙情的になってしまうほど温かくて・・・。

 

 

アダムとイブを想う夢うつつの中、

 

逆に鳴り響く時計のアラーム音は

 

よもや林檎を食べた罪と罰か。

 

 

私達にいつもと変わらない社会的現実を

 

 

より一層残酷に突き付けてきます。

 

 

正月事始め（しょうがつことはじめ）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

この大雪の時期は冷たい現実と新たな希望の交錯地点。

 

 

鮭が新しい命の芽吹きに備えるように

 

 

「正月事始め」と呼ばれるこの季節で

 

私たちもまた終わりを迎える今の御年（こんのおんとし）の数え日を

走り去っていくような喧騒の中で仕事や行事、家内事など一つ一つ納め時を迎えていくことになると思います。

 

そして、一年に一度、多くの方がこの一年を顧みては

 

「終わり良ければ総て良し」

 

と「除夜の鐘」など色濃く残る日本の伝統行事に一年の総決算を委ねて

 

きっと来年はいい年になるだろう

 

来年こそはいい年にするぞ

 

と、新たな年の息吹に希望を灯します。

 

今回のシーズンブレンド”大雪”はそんないつまでたっても変わらない日本の師走の風景を伝統と捉えてオマージュしたブレンドになります。

 

僕はASLANを起業する以前、創業してもうすぐ１００周年を迎える老舗の自家焙煎珈琲屋さんで勉強させてもらっていましたが、その中で僕が感じた伝統の美しさは「残酷性と希望性」です。

 

伝統は対象に格式性をもたらしますが、格式性そのものには人に希望を灯すポジティブな側面と人の可能性を矮小化させるネガティブな側面の両方があると思っています。

 

温かさと冷たさ

 

両方を本質に持つからこそ伝統は美しいんだと思います。

 

日本のコーヒーの世界にも「焦がし焙煎」という伝統があります。

 

焦げた炭のような香りと、力強い苦味のある焦がし焙煎は「産業全体を想像できる味作り」というASLANの哲学とは真逆の焙煎のエゴが詰まった味作りです。

 

ただ今後どれだけコーヒーの世界と風味が多様化しても、

 

その焦げた炭の様な香りを嗅ぐわう誰かの幸福な横顔は

 

冬の風物詩のように思い出す伝統として残り続け、

 

その力強い苦味は”苦味”と共に歩んだ自身の思い出を

 

 

慈しみ、懐かしむ

 

 

”思い出の味”として

 

”日本のコーヒー”として

 

 

 

愛され続けるのかもしれません。

 

 

僕はずっと日本の伝統に苦しめられて、日本の伝統に生かされています。

 

それは結構美しいことで、生きているという実感そのものに繋がっているような気もします。

 

 

なので、僕がこのコーヒーの世界に入るきっかけを作ってくれた師匠と日本の珈琲への感謝を表す意味で、僕は毎年この大雪の時期に焦がし焙煎をこのブレンドで表現しています。

 

 

 

凍てつく寒さの中で香る

 

 

深く煎った炭のような焦げた香りが

 

僕と同じように皆様にとっての大切な誰かの顔を漂わせ、

 

皆様の毎朝の些細な楽しみとなることを祈って、

 

今年も去年と同じく最後の末尾とさせて頂きます。

 

 

良いお年を

 

大雪（Taisetsu) Written by ASLAN Coffee Factory ,Hiroshi Yagyu