COLOMBIA / J.Lopez(浅煎り)
COLOMBIA / J.Lopez(浅煎り)
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生産国:Colombia(コロンビア)
生産地:Buenavista, Pijao,Quindio(キンディオ県ピジャオ ブエナビスタ地区)
生産者:Lopez Family( Finca Puerto Alegre )(ロペス・ファミリー/フィンカ・プエルト・アレグリ)
品種:Geisha(ゲイシャ)
標高:1,450m up
精製方法:Carbonic Maceration Natural(カーボニックマセレーション・ナチュラル)
ローストレベル:Cinnamon Roast(浅煎り)
フレーバープロファイル:Transparent,Complex Aroma,Complex Acidity,CAcaonibs, Bright acidity, tartaric acid,Ripeness,Smooth mouthfeel,Silky,fullbody,syrup,candy,dryberry,drypineapple,dryplum
Finca Puerto Alegre
ロペスファミリーは3世代以上にわたってフィンカ・プエルト・アレグリとフィンカ・ラ・エスペランサという2つの農園でコーヒーを栽培しています。
家族経営でそれぞれが得意分野を分業しながら、切り盛りされているロペスファミリーのコーヒーは四人兄弟の末っ子ハイロ・ロペスが精製管理を担当しており、”標準化”をコンセプトに掲げる彼の丁寧な加工によりプエルト・アレグリのゲイシャは複雑なフローラルフレーバーを有します。
2014年、ドン・モイゼスの孫にあたるロペス兄弟4人が農園を引き継ぎ、サステナブルなスペシャルティコーヒーの生産に力を注ぎ始めました。その後、兄弟は革新的な加工とエコツーリズムに焦点を当てた自分の子供たちを何人か加え、今日、農場はこの多世代にわたる専門知識の恩恵を受けています。
フィンカ・プエルト・アレグリは、ピハオの町を囲む山々にある区画に分かれており、メインプロットは丘陵地帯にあります。工場、研究室、母屋はすべてこの区画にあります。この区画には数ヘクタールのジャワ種コーヒーが植えられていますが、さらに山の上で、カスティージョ、モカ、ゲイシャの品種がそれぞれ指定された区画に植えられています。現在、彼らは数種類のブルボンの苗木を栽培しており、その中には最近競技会レベルでも注目される南部ウイラ原産のアジもあり、彼らのトレンドへの関心の高さも品種の多様性から垣間見ることが出来ます。
The Story of Lopez Family
プエルト・アレグレ周辺のコーヒー農家は太陽にコーヒーチェリーを浴びせながら栽培していますが、ロペスファミリーが所有するプエルト・アレグレのコーヒーノキは日陰に覆われ一切露出していません。
無論、太陽がいっぱいになると収穫量は増えますが、ロペスファミリーの家長ドン・モイゼスは、短期的な利益(収穫量を増やす)のために農薬や肥料を使用して環境を破壊したくないという信念がありました。
家長ドン・モイゼスが1970年代にコーヒーノキを日陰で生産することを決定して以来、ロペスファミリーはこの信念を頑固に守り続けています。
今日では、レウカエナという名の樹木が農場に植えられている主な日陰の木です。木の根は窒素を固定し、3か月ごとに葉を落とすため、有機肥料を生産するためのバイオマスの優れた供給源です。この定期的なシェディングにより、剪定コストも削減されます。
天候パターンにより、フィンカ・プエルト・アレグレは一年中コーヒーを生産しています。ロペス家は、植物を健康で生産性の高い状態に保つために、定期的に木に肥料と剪定を行っています。
栽培への細心の注意は、同様に注意深い精製処理によってさらに補完されます。
4人兄弟の末っ子であるハイロは、土木技師としての訓練を受け、その知識をプエルトアレグレでの加工方法の改善に応用してきました。農場での加工を完璧にすることに加えて、”ハイロ・イノベーション”はキンディオに大きな影響を与えています。
彼の自動乾燥ベッドのアイデアは最近コンテストで優勝し、地方自治体から資金提供を受けてスタックベッドのデザインを制作しました。
What is Carbonic Maceration
カーボニックマセレーションと呼ばれる精製方法を端的に説明するとすれば「炭素の力で酸素を強制排出した状態で発酵させる方法」と言えます。
なので、「酸素による発酵(好気性発酵)を停止させる」といった意味合いでは発酵に関するプロセス理念は基本的に嫌気性発酵と同様です。
新酒のワインの醸造方法であるカーボニックマセラシアンをモチーフにしており、普通の嫌気性発酵よりは設備投資に費用がかかる分、細かい風味のコントロールも可能な製法として知られています。また、この醸造方法で作られるワインで最も有名なのがボジョレーワインであるため、このカーボニックマセレーションプロセスを”ボジョレー式”と呼ぶコーヒー屋さんも稀にいます。
カーボニックマセレーションは、密度の低いコーヒーチェリーをはじいた後、果肉がついたままのチェリーを密閉タンクに移し、一気に炭酸ガスを注入し酸素を輩出して、発酵を進めます。
このカーボニックマセレーションが他のアナエロビックと大きく違う点が、「発酵スピード」です。
タンクに二酸化炭素を注入して酸素をすべて除去します。タンク内には一切の酸素がないため、完全な嫌気性状態が完成しますが、そのため、残留酸素による好気性発酵が進まないため、タンク内に圧力が生じずチェリーが圧迫されて潰れてしまい中のミューシレージが染み出してくることがありません。そのためか、グルコースの分解は遅くなり、pHの進化も遅くなります。
結果的に発酵は非常にゆっくりと進んでいくので、さまざまなパラメータを制御しやすく、状態変化を数値観察で追うことが可能になります。いわゆる、”定量分析”が出来るこの精製方法は結果的にさまざまなフィードバックを農園にもたらします。
ワインのようなコーヒーを作りたいというのが農家の目的ではなく、彼らが求めているのは定量化です。定量分析が出来て、トライ回数を増やしていけば発酵をかなり精密にコントロール出来るようになることこそがこの製法の最大の強みだと僕は認識しています。
毎年の生産を偶然の産物で終わらせることなく、効率的で継続的な品質向上へのチャレンジを積み重ねるための土台にできることが、この製法の最大のメリットです。だからカーボニックマセレーションは注目を浴びてるんだと思います。
ちなみに、2015年のバリスタ世界チャンピオンに輝いたサーシャ・セスティック氏はワイン本来のマセラシオン製法をコーヒーに応用したパイオニアで有名ですが、彼は「この精製方法は温度をコントロールすることで酸味と甘みの両方をコントロールできる」と言います。低温では酸味が増し、高温では甘みが増強されるそうです。
他の嫌気性発酵と同様に、発酵によって香りを高め、甘みや酸味を改善し、コーヒーにより豊かな風味を生み出すことを目的としていますが、生産蓄積によるフィードバック量が多い為、過発酵のリスクを管理しやすい製法と言えます。
さて、ここからは実際にロペスさん達のカーボニックマセレーションについて見ていきましょう。
ただこの製法あるあるなんですが、定量分析を強みにしているのでクロップ紹介はほぼ数字や品質コントロールの話ばっかりです。
きっとほとんどなに言ってるかわからないと思います。「なんかめっちゃこだわってやってんだな、ロペスさん」くらいで大丈夫です。(笑)
数字並べて喜ぶ奇特な変人はそんなにいない。
ph/brix/temperature
今回のカーボニックマセレーション同様、全ての嫌気性発酵に言えることですが、こうした密閉タンクに入れて発酵させる方法の最大のメリットは好気性発酵に比べると比較的容易に「温度」、「pH」、「糖度(Brix)」をコントロールできる点だと思っています。なので、この方法においてこの三つの数値を制御することは最も大事なことだとも言えます。
Concept of Jairo Lopes
ハイロの生産コンセプトは「標準化」です。
自然を相手にするコーヒー農業は当然ながら毎年無数のランダム変数が存在します。ハイロはそのランダムな変数を「標準」的な品質レベルとして管理できるようにすることを心掛けています。
各ロットには、処理中のトレーサビリティを文書化し、維持する「出生証明書」が発行されます。品種、処理方法、重量、プロット、収穫日などの通常の基本情報と、発酵の開始時間と終了時間、さまざまな段階でのサンプルのpHなど、追加の発酵情報を記録して、メソッドを可能な限り再現性のあるものにします。
現場のコーヒーチェリーピッカーにも数値でのピックを導入しています。屈折計を使用して、チェリーがピッキング時にピークの熟度であることを確認してから、厳選してピックしています。
チェリーを一晩寝かせた後、ブリックス(糖度)含有量が最適な範囲内にあることを確認するために再度分析し、密封されたバッグで2〜4日間発酵させます。
コーヒーの温度はマセラシオンプロセス全体を通して制御され、摂氏15度から17度の間に保たれます。温度は、プロセスから集められた水を気密バレルに絶えず注入することによって制御されます。その過程で、CO2の放出も制御されます。このプロセスは、完了するまでに60〜72時間かかります。発酵後、チェリーは放物線ドライヤーでレイズドベッドに置かれます。この間も乾燥機内の温度を注意深く追跡し、換気を使用して温度と湿度を制御し、均一な乾燥を確保します。
ベッドで寝かせるチェリーは頻繁に掻き集められ、25日~30日ほどかけて均一に乾燥させています。
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参考文献:
1.SUCAFINA『Colombia Lacia Puerto Alegre Geisha Carbonic Maceration』
URL:https://sucafina.com/na/offerings/lacia-puerto-alegre-geisha-carbonic-maceration
2,『Perfect Daily Grind - How coffee flavour development impact fermentation?-July 14,2017』https://perfectdailygrind.com/2017/07/how-does-fermentation-affect-coffee-flavour-development/
3,『Perfect Daily Grind - What’s the problem with infused coffees?-August 23,2021』
https://perfectdailygrind.com/2021/08/infused-coffees-experiments-with-fermentation/
4,『SPRUDGE‐Sasa Sestic of Australia Wins The 2015 World Barista Championship‐APRIL 13 ,2015』
https://sprudge.com/sasa-sestic-of-australia-wins-the-2015-world-barista-championship-
5,『WBC2015王者サーシャのコーヒー熱を追うドキュメンタリーThe Coffee Man』https://coffee.ism.fun/article/c14dca77-a750-4826-b4d3-9068152f0b94
CUP NOTE(カップノート)
【Acidity(酸味)】
はっきりとした酒石酸(Tartaric)の印象があるが、柑橘系(Citrus)の要素もほんのりと感じれるコンプレックスな酸質。口に入れた瞬間の酸はプラム(梅)のようなニュアンスが楽しめる。冷めてくるとドライベリーやドライオレンジのようなニュアンスもあり、十分な強度と明るさ(Bright)が感じ取れる。
【Sweet(甘味)】
明るい酸味を包み込むように広がってくる甘味は糖蜜やシロップ質で濃厚さがある。
【Body(ボディ≒コク)】
液体には発酵由来の重たさ(MediumFullBody)を感じ取れる。
透明感があるので発酵由来の独特な重たさには過度がなく明るい酸味や甘味が楽しめる果実酒のようなバランス。
口に含んで液体に動きがある時には質感を感じられ、キャンディーやシロップのような心地よい粘性(viscous)を伴った甘味がある。逆に液体に流れがない時は丸い印象(Round mouthfeel)と明るい酸が際立つので、良いボディのニュアンスが楽しめる。
【After&Clean(余韻とカップの透明感)】
アフターフィニッシュまでしっかりと奥行きがあるのでフィニッシュもロングアフターなテイスト。どっしりとした印象を受けるが、クリーンカップから来る液体の透明感が質感に綺麗な印象をもたらしているので、くどさがなく、クリアな余韻で楽しめる。
【OverAll(総合評価)】
アタック(第一印象)の酸質は明るいく梅の様なニュアンスがあるが、タータリク(酒石酸)で、強い強度があるため中間域くらいからは果実酒、程よいタンニンを感じられる軽めの赤ワインのようなジューシーな印象を受ける。
しっかりとした質感があるので液体には分厚い滑らかさを感じられるので、糖蜜やシロップ、キャンディーのようなリッチな甘みを楽しめる。
発酵感がしっかり漂う重ための印象があるが、酸味の明るさもしっかりと楽しめる複雑性がこのカップの最大のユニークポイント。
酸味には梅、ブドウやドライオレンジ、ドライパイナップルなど温度帯の変化に合わせて多様なフレーバーを連想できる明るさが爽やかな印象を描き出すのに、甘味にはキャンディーや、蜂蜜、シロップのような強いとろみを伴った分厚さがあるため、余韻では一転して重たさと濃厚さに包まれた酸味を楽しめるアンニュイでユニークなバランス。
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