INDONESIA ヘンドラ・マウリザール / カーボニックマセレーション(浅煎り)
INDONESIA ヘンドラ・マウリザール / カーボニックマセレーション(浅煎り)
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生産国:INDONESIA(インドネシア)
生産地:Panda Ache , Ache , North Smatra (北スマトラ アチェ州パンダ・アチェ)
生産者:Hendra Maulizar (ヘンドラ・マウリザール)
品種:Sigarartan,Caturra,Typica,Aten(シガラルタン、カトゥーラ、ティピカ、アテン)
標高:1,600 - 1,700m
精製方法:Carbonic Maceration Natural(カーボニックマセレーション・ナチュラル)
ローストレベル:Medium Roast(中浅煎り)
フレーバープロファイル:Malic(林檎酸),Tartalic(酒石酸),Ripe(熟した),Transparent(透明感),Jucy(ジューシー),Molasses(糖蜜),syrup(シロップ),RoundMourhfeel(丸い口当たり),Calm(穏やかな),VISCOUS(粘性),Full-MediumBody(フルミディアムボディ),a little thick(少し厚みのある液体),Rich Body(豊かなボディ感),Sweet after finish(スウィートフィニッシュ),Dry-Pineapple(ドライパイナップル),Dry-Orange(ドライオレンジ),Mango(マンゴー),Raspberry(ラズベリー)
Coffee Beyond Borders
Copyright Origin : https://coffeebeyondborders.com/
CoffeeBeyondBorders社は農家とロースターを結ぶコーヒー輸出業者としてインドネシアのスペシャルティコーヒーの発展と、透明性のある持続可能なコーヒー生豆の供給を目指し、2016年に設立されました。
2023年までインドネシア国内のロースターに向けての競技会レベルの高品質な生豆の紹介とロースティングやバリスタチャンピオンシップへの協力を続けてきましたが、アジア産コーヒーの輸入を得意とする貿易商社「海ノ向こうコーヒー」の協力のもと昨年日本で開催されたSCAJ2023にて、初めて日本市場へのアクセスに挑戦しました。
来日したJohan(ヨハン)はCoffee Beyond Bordersで品質管理、各産地の農家とのコミュニケーションを一挙に担う生産現場のキーパーソンですが、競技会レベルの高品質なインドネシア産コーヒーを広めるため、新たな市場の開拓にも余念がない若き情熱家です。
彼は自身の高い品質管理能力に加え、これまでの実績の中で築いた農家やサプライヤーとのネットワークを活かし、伝統的なインドネシアコーヒーとは世界線から違うような感覚すらも覚えてしまう独特かつ高品質なインドネシアコーヒーの供給を最も得意分野としています。
今回のクロップもインドネシアではかなり珍しい特殊プロセスですが、このプロセスもヨハンがヘンドラの生産に対する挑戦的な姿勢と彼の農場環境を踏まえて提案しているそうです。ヘンドラの農場は海抜1500メートルから1700メートルの間に位置し、インドネシアで最も標高の高い地域の1つ「アチェ」に属します。インドネシアとスマトラ島の気候は暖かく湿度が高いため、発酵と乾燥が特に難しい産地ですが、ヘンドラの農場があるアチェは、気温が穏やかで湿度が低いため、インドネシア国内の中でも特に今回のような特別なプロセスに向いている理想的な場所となっているそうです。
The story of coffee about Hendra
2006年に父親が始めた農園の後を継いで、ヘンドラは2010年にコーヒーの栽培を始めました。
彼が農園主として父から譲り受けた農園はわずか1ヘクタール。
彼はその小さな土地に大きな夢と情熱を注ぎ続けて今年で14年目になります。
小さかった土地が今では10ヘクタールにまで広がり、また栽培面積だけでなく、父親とともにウォッシングステーションを設置し、自らすべての生産工程を独自に管理できるほどまでになりました。
現在は周辺の小さな農家のチェリーも高値で買い取り、地元のコーヒー産業の成長支援にも取り組んでいます。
ヘンドラのように世界各国で急成長する若手農家が最近増えたように思いますが、彼らに共通して感じるのは自身の仕事への情熱と、継続的なチャレンジです。彼はこの14年間ずっとコーヒーの品質を向上させ、収穫と加工を改善するための施設に投資することに多大な努力を払ってきました。その結果、彼は”スマトラ”という伝統的なブランドに対する新たな付加価値を生み出すコーヒーの生産に成功するようになりました。60時間もの長期熟成のカーボニックマセレーションスマトラは、まさにヘンドラの優れた技術を感じられる代表的な作品と言えるでしょう。
Hendra's Challenge
へンドラと彼のチームが作るカーボニック・マセレーションコーヒーは、画一的で伝統的だと思われていたスマトラコーヒーに隠される品質と多様性の道筋を見事に表現しています。
このカーボニックマセレーションプロセスは、2015年に当時バリスタ世界チャンピオンとなったサーシャ・セスティックによって発表された現在のコーヒー業界で使用されている最も革新的な方法の1つです。二酸化炭素を使って酸素を一気に排出した状態で発酵させる方法でCO2を多く含む環境は、発酵に理想的な条件を作り出し、ユニークで複雑なフレーバープロファイルを生み出すと言われています。ですが、そんなに容易い精製方法ではありません。
定量分析が大切になるカーボニックマセレーションは基本的にフィードバックの積み重ねにより、風味が向上します。
品質向上に余念がないヘンドラは毎年8~10種類の精製方法を試し、トライ&エラーを繰り返し、どういった方法がこの地域のコーヒーにあっているかを見極めて実験を行っています。ヘンドラはこの革新的なプロセスをベースに、”今回は”60時間の長時間の発酵工程に取り組んでいます。
そう…素晴らしい風味は一朝一夕にあらず。ということです。
What is Carbonic Maceration
カーボニックマセレーションと呼ばれる精製方法を端的に説明するとすれば「炭素の力で酸素を強制排出した状態で発酵させる方法」と言えます。
なので、「酸素による発酵(好気性発酵)を停止させる」といった意味合いでは発酵に関するプロセス理念は基本的に嫌気性発酵と同様です。
ただワインの醸造方法であるカーボニックマセラシアンをモチーフにしており、普通の嫌気性発酵よりは設備投資に費用がかかる分、細かい風味のコントロールも可能な製法として知られています。また、この醸造方法で作られるワインで最も有名なのがボジョレーワインであるため、このカーボニックマセレーションプロセスを”ボジョレー式”と呼ぶコーヒー屋さんも稀にいます。
ph/brix/temperature
今回のカーボニックマセレーション同様、全ての嫌気性発酵に言えることですが、こうした密閉タンクに入れて発酵させる方法の最大のメリットは好気性発酵に比べると比較的容易に「温度」、「pH」、「糖度(Brix)」をコントロールできる点だと思っています。
なので、この方法においてこの三つの数値を制御することは最も大事なことだとも言えます。(これを意識してない嫌気性は嫌気性とは言えない・・・)
Coffee flavor and quantitative analysis
コーヒー界におけるカーボニックマセレーションは、密度の低いコーヒーチェリーをはじいた後、果肉がついたままのチェリーを密閉タンクに移し、一気に炭酸ガスを注入し酸素を輩出して、発酵を進めます。
そして、このカーボニックマセレーションが他の嫌気性と大きく違う点が、「発酵スピード」です。
タンクに二酸化炭素を注入して酸素をすべて除去することにより、タンク内には一切の酸素がないため、グルコースの分解は遅くなり、pHの進化も遅くなります。結果的に発酵は非常にゆっくりと進んでいくので、さまざまなパラメータを制御しやすく、状態変化を数値観察で追うことも可能です。定量分析が出来るこの精製方法は結果的にさまざまなフィードバックを得ることができるので効率的で継続的な品質向上へのチャレンジが農園にもたらされます。
2015年のバリスタ世界チャンピオンに輝いたサーシャ・セスティック氏はワイン本来のマセラシオン製法をコーヒーに応用したパイオニアで有名ですが、彼は「この精製方法は温度をコントロールすることで酸味と甘みの両方をコントロールできる」と言います。
低温では酸味が増し、高温では甘みが増強されるそうです。嫌気性発酵と同様に、香りを高め、甘みや酸味を改善し、コーヒーにより豊かな風味を生み出すことを目的としていますが、フィードバック量が多い為、最も定量的なアプローチが進んでいる製法と言えます。
CUP NOTE(カップノート)
【Acidity(酸味)】
ベースの酸質は強度がしっかりあり、アタックのインパクト、フィニッシュまで明るい印象がある。強い甘味とのバランスがとてもよく、甘さを骨格にフルーツを連想できる親和性の高い酸味。
【Sweet(甘味)】
キャラクターの中心要素は二つあるが、そのうちの一つが甘味。強い甘みはアタックで感じる強度の高い明るい酸味と共存してフルーツのバランスを構成し、ミドル(中間域)からフィニッシュ(余韻)にかけては後述する個性豊かな質感と合わさってバターのような粘性のある心地よい丸みを醸し出す。
【Body(ボディ≒コク)】
強い質感があるため奥行きは長く、カップバランスに豊かな奥行きを感じられる。このお豆のキャラクターのもう一つの中心になるのがこの強い質感。酸味と甘さが強いだけだと味の骨格が骨太になってしまいがちだが、このお豆はそれに負けない強い質感があるため、強い酸味があるのにマウスフィールは優しめで、フィニッシュ(余韻)には滑らかなテクスチャー(舌触り)の中に甘味がしっかりと乗ってるので全体のカップにバランスの取れた心地よさが感じられる。
【After&Clean(余韻とカップの透明感)】
アフターフィニッシュまでしっかりと奥行きがあるのでフィニッシュもロングアフターなテイスト。
どっしりとした印象を受けるが、きれいな質感とマンデリンとは思えない強烈なクリーンカップが口に残るコーヒーの要素ではっきりと楽しめる。昔のマンデリン特有の余韻で感じる土っぽさ(アーシー)、くどさがなく、クリアな余韻で楽しめる。
【OverAll(総合評価)】
アタック(第一印象)の酸味は力強いマリック系だが程よく粘性もあり、酸を追うようにじんわりと溢れてくる甘味も伴って印象はピーチや杏子のような核果果物の甘酸っぱさで次第に強くなってくる甘味に意識が引っ張られると赤葡萄やドライレモンのようなベリー系、ドライフルーツ系のジューシーな甘酸っぱさを楽しめる。豊かな質感があり、ミドル(中間域)から甘さにより重厚感が生まれる為、アフターフィニッシュ(口の中でコーヒーの味が消える瞬間)までバターのような粘性のあるテクスチャー(舌触り)が楽しめる。香りは余韻で鼻に抜けるときのアロマが印象的でみたらし団子のような和風な甘さが感じられつつも下から鼻に抜けてくるアロマにはハーブのようなアーシーな香りがあるのでエキゾチックなフィニッシュ。上品な酸を楽しめるエレガントなカップクオリティ。
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