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ASLAN COFFEE FACTORY

インドネシア/フリンサエステート アテング・スーパーナチュラル(中浅煎り)

インドネシア/フリンサエステート アテング・スーパーナチュラル(中浅煎り)

通常価格 ¥1,880 JPY
通常価格 セール価格 ¥1,880 JPY
セール 売り切れ
税込み。
グラム数
豆 or 粉

生産国:Indonesia(インドネシア)

生産地:Gunung Cupu, Pangalengan, Cikole , West Java (西ジャワ島チコレ・パンガレンガン・グンホンクプ

生産者:Fikri Raihan Hakim(フィクリ・ライハン・ハキム)

品種: Ateng Super(アテン・スーパー)

標高:1,300-1,500m

精製方法:Lactic Natural (ラクティック・ナチュラル)

 

【ローストレベル:Medium roast(中浅煎り)】

【焙煎あーだこーだ】

今回の乳酸発酵みたいな発酵しまくり系の豆たちにありがちなのが・・・

 

焦げやすいしオイル浮きやすい。

 

これは菌によって豆の細胞組織が破壊されることによってもたらされている影響なんですが、焙煎する時はこの「密度が軽くて焦げやすい」という部分をどう味のバランスにしていこうかという所が楽しいところ 

今回のフィクリのアテン・スーパーは明るいけど密度の軽い柑橘系の酸味がワクテカポイントです。 

インドネシアコーヒーとして、

スマトラ系の豆と思われているアテン・スーパーとして、

 

こいつを紹介する上で最も大事にしてあげたい。

 

そういう個性がこの酸味にはあると思っています。

 

ただやっぱり発酵して重たいボディと舌触りがあるんでどこまでいってもフルボディテイスト

 

どっしりとしたカップの演出と後味でぶわっと広がってくる甘味や渋味にもアテンらしい独特なハーバル感が詰まってるので、ボディの演出もしっかりと出してあげたい。

 

焙煎の時はこの二つに凄く気を付けています。

 

この二点が綺麗にかみ合ったバランスになってるときはまるで、

 

水族館でクラゲを眺めてるような「暗くて明るい」イメージとか

 

シロナガスクジラの鳴き声のような「重たくて儚い」イメージが酸味のグラデーションに詰まってます。

 

正直、このフィクリは浅煎りかどうかっていうローストカラーよりも、そのグラデーションを焙煎の時は重視しています。


あーだこーだ言うとりますけど、結局は・・・

 

オイル浮いちゃうんですよ。すんません。と言いたいわけです。

 

【FLAVOR COMMENT(フレーバーコメント)】

【Aroma(アロマ)】Burnt soy sauce(焦がし醤油), Caramel(キャラメル), DryMango(ドライマンゴー)

【Flavor(フレーバー)】Fig(無花果)、Dryberry(ドライベリー)、Cacaonibs(カカオニブ)、Shiranui-Orange(でこぽん)

【Acidity(酸味)】Citrus(シトラス酸),Tartalic(酒石酸)

【Sweet(甘味)】Jam(ジャム),Syrup(シロップ),

【Body(ボディ≒コク)】FullBody(フルボディ)、Chocolate(チョコレート)、Butter(バター)

【After Taste(アフターテイスト)】Long-aftertaste(ロングアフターテイスト)、Cacaonibs(カカオニブ)、Shiranui-Orange(でこぽん)、Fig(無花果)

【Balance(バランス)】Long-aftertaste(ロングアフターテイスト)、Sweetcup(スウィートカップ)

 

 

FRINSA Estate

フリンザエステートのフィクリ・ライハン・ハキムは、インドネシアで単一品種を推進し販売する数少ないコーヒー農家および加工業者の一人です。

2010年にフィクリさんの父ウィルダン氏が設立した農場を現在は息子のフィクリさんが事業を引き継ぎ運営しています。

彼らがこだわるのは品種ごとの厳正な生産処理です。

 

「私達は特定の品種ごとに一つの”ロット”を作ることに非常にこだわっています。 なので、作業員がチェリーを収穫する際は絶対に品種が混ざらないよう各品種はそれぞれの専用袋に入れられます。そして、加工場では、各品種にはそれぞれの加工エリアがあります。」

 

 コーヒー農家が持続可能な農業を管理するためにいくつかの異なる品種を植えることは一般的ですが、ほとんどの場合、収穫以降の工程は一つのバッチで一緒に処理してしまいます。

フィクリは収穫以降の工程処理もそれぞれの品種ごとに行うことにこだわりますが、そのこだわりにはインドネシアならではの生産歴史がバックグラウンドに隠れています。

現在、フィクリは彼の農場で14種類以上の品種を育てています。

それにはアテン・スーパー、ボルボル、アンドゥン、サリ、ティムティム、Sライン、ティピカなどインドネシア独自の品種群が多く含まれます。

 

14種類という品種は本当に多様です。

 

フィクリは農園に広がるこの多種多様な品種たちの入手ルートについて強いこだわりがあります。

 

いつもきまって

 

「すべての種子は”プスリトコカ”から ”直接” 取得しています」

 

こう述べます。

 

*「プスリトコカ」:インドネシアコーヒーカカオ研究所:インドネシアコーヒーとカカオ研究センター(略称:プスリトコカ)は、インドネシアの研究機関の一つで、PT.ヌサンタラプランテーションリサーチ(RPN)の後援の下にあり、インドネシアプランテーション研究所(LRPI)の変革として設立されました。コーヒーとカカオのコモディティに関する研究開発を行う使命を持ち、植栽材料、栽培、収穫後の処理から製品加工までを含みます。(Wikipedia参照:Pusat Penelitian Kopi dan Kakao Indonesia - Wikipedia bahasa Indonesia, ensiklopedia bebas

 

この一言が個人的にはとても興味深くて、掘り下げてみると

 

まぁインドネシアの面白い生産事情が見えてきます。

 

インドネシアはエチオピアから初めてコーヒーの木が輸出され植樹、栽培が行われた最初の国です。

 

よってコーヒーの伝搬の歴史はかなり古く、なんと1600年頃まで遡ります。

 

1600年って言ったら日本だとまだ関ヶ原の戦いです。

 

この歴史の長さはそのまま地層のようにコーヒーの品種群にも反映されていきます。

 

つまり、インドネシアの現在の品種群にはおよそ400年ほどの歴史が詰まっています。

 

当然その長い歴史の中で、コーヒーの木はインドネシアの大地に合わせ適応し進化していきます。

 

加えて、スペシャリティコーヒー市場を意識する農家は品種を大切にします。

そのため自然発生的な異種交配が進まないよう品種ごとに区画を分けて隔離することでその生態群を守りますが・・・インドネシアコーヒーの農家のほとんどはそういう意識がまだ浸透していないため、品種ごとの隔離がされておらず長い歴史の中で異種交配が進んできました。

 

現在溢れるインドネシアコーヒーの聞いたことない多様な品種たちはこうした生産背景のもと誕生しています。

(もともとはアビシニア(ティピカの現地呼称)とブルボンだけだったらしいよ)

 

しかも、生産している本人たちですらすでに変わり果ててしまったティピカをそんなことは露知らず「Abisiniya( アビシニア)!」と呼んでたりするので

 

あっちのアビシニアとこっちのアビシニア全然違うんだけど・・・

 

ってなることも普通にあります。

 

DNAレベルでみないと品種があてにならない

 

他の産地でもあるはある話ですが、インドネシアではそういうことが”よくある話”になってきます。

 

まぁカオスなわけですよ。

 

ただ、こういった状況から品種としての情報に透明性が無いからと言って、スペシャティコーヒーではないという帰結になるとこれはこれで大問題なのがインドネシア。

 

品種鑑定による品種の家系図や分布図を整理していくのは地層から歴史を紐解いていくのとニュアンスが近いです。

 

未知なる発見も大いに含まれており、そうした発見の度に辻褄を合わせる整理整頓が必要になってきます。

 

なので、400年もの歴史の中で生まれてきた各地の農園に散らばっている数々の品種群を一挙に鑑定していくのはエチオピアと同様、困難を極めます。

 

それが現在のインドネシアの品種の広がりです。

 

そんな現状だからこそフィクリは現在最も信憑性の高い研究所から品種を入手します。

そして、徹底した”品種隔離”にこだわります。

品種認定として最も信頼性のある研究所からシードを入手すること

単一品種を隔離し注意深く分けて生態系を保持すること

 

フィクリはこうしたこだわりがカップから広がってくる風味に対する一貫性とトレーサビリティを確保することに繋がると信じています。

 

現在のインドネシア・スペシャリティコーヒー市場に大切なのは「生産の一貫性」であると。

 

インドネシアの全体像を冷静に捉えた非常に現実的で理知的なこだわりこそフィクリ・ライハン・ハキムの最大の特徴と言えるかもしれません。

 

Ateng Super

アテン・スーパーと呼ばれるインドネシアのオリジナル品種は、インドネシア全土で栽培されている主要品種の一つです。

中国のカティモールに類似したハイブリット系の品種になります。

 

特にスマトラ島に多く、スマトラの味と言ってもいいかもしれません。

なので、マンデリンを飲んだことがある方はご存じかもしれませんが、アテン・スーパーから受けるフレーバーの印象は基本的に”ハーバル”や”アーシー”と呼ばれる穀物類を連想する優しい酸味の印象があります。酸味の総量が少なく素朴的で優しい丸さはインドネシアの伝統的な風味として認知されています。

ですが、フィクリが生産する同じ品種のロットからはそれとは対照的な柑橘類とチョコレートの甘いフレーバートーンが明確にあります。

そう、彼が生み出すコーヒーにはジャワ島の他のコーヒー生産者とは明らかに違う色の風味が存在します。

フリンザ・エステートのフィクリ・ライハン・ハキムさんは、コーヒー農家でありながら自社で精製プロセスも行っているマイクロミル加工業者の1人です。

零細農家主体のインドネシアでは数少ない経営農家の一人です。フィクリさんのコーヒーは、チェリーの成育から精製工程まで一貫して自社で行えるこの生産体制が独特のフレーバーを生み出す大きな土台だと僕は思います。

 

Lactic Fermentation

2019年、フィクリと彼の父であるウィルダンは、コーヒーの研究機関であるノルディックアプローチと共同で乳酸菌と酵母菌がコーヒーの成育に与える影響について実証実験を行いました。

その結果、単離された乳酸菌のみをコーヒーチェリーの発酵工程に使用する独自の製法を開発することに成功し、フィクリさんは独特の風味を生み出すことができるようになりました。

今回のロットはフィクリが独自に開発したこの乳酸菌発酵プロセスを加えています。

 

また分からない製法が出てきた。。。

と頭を抱えてる人もいるかもしれないので、ざっくりと個人的な所感で分類します。

同じように菌を加えて発酵させる製法で一般的に知られているものだと、イースト菌/酵母菌発酵だと思います。

菌を使用し狙った発酵成分へのアプローチを目指すこれらの精製方法は【味作りに対する思考の枠組み】としては分類的には同じものになるかと思っています。

ただ「菌の種類」と「分解する成分」、「生成される発酵成分」が違います。

 

イースト菌/酵母菌発酵:真菌プロセス

アルコール発酵:発酵の香り

乳酸(菌)発酵:細菌プロセス

乳酸発酵:バターやスコッチのような芳醇なボディ、質感

 

イースト菌はサッカロマイセス酵母を代表とする出芽酵母に着目した精製方法です。

ワイン造りの主役とも呼べるサッカロマイセス・セレビシエとかが有名です。

対して、乳酸発酵は同じワインで例えると「Malolatic fermentation:マロラティック・プロセス」になるかと思います。

ちょっとテクニックなワインの手法です。

また、乳酸菌は他の雑菌類と競合して栄養素を取り合う場合は、他の菌たちよりも率先して栄養素を吸収し分解していくので、乳酸発酵であれば狙った発酵の方向性へと持っていきやすく、品質が安定しやすいというメリットがあります。

フィクリのラクティックナチュラルは単離させた乳酸菌のみを嫌気性発酵時に添加することが出来るので、こうした乳酸菌の特性を最大限引き出せる上に、より高いレベルの再現性も実現可能です。

なので、嫌気性の状態でタンクを2日間、日が当たる状態で放置してるにもかかわらず風味には穏やかでありながら骨格もしっかり残った明るい酸味が楽しめます。

 

Background of Innovation

伝統的な生産背景が根強いインドネシアではかなり珍しい非常にイノベーティブな精製方法ですが、こうしたフィクリさんのたゆまぬ挑戦の背景にはインドネシア独自の温暖化に対する戦いがあります。

インドネシアではここ数年気候変動による乾期のスコールが絶えません。

 

その結果、乾燥が十分に行えず、人気の品種の生産が以前より困難となりました。フィクリさんのような生産者は、豆の風味を際立たせ、高得点のコーヒーを安定的に作るためにこうした発酵のプロセスを意欲的に活用しています。

こうした合理的な判断による革新的なプロセスへの挑戦はインドネシアに限ったことではないかもしれませんが、保守的で伝統を重んじ変化の吸収に対してあまり積極的とは言えないインドネシアの生産者としては珍しいと思います。

それらがより人気になるかどうかはまだわかりませんが、インドネシアのコーヒー加工における革新の兆候であるということは確かです。

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